珪酸製品
珪酸ソーダ(けい酸ナトリウム)は別名「水ガラス」と呼ばれており、特性を活かしてシリカゲル、ホワイトカーボン、コロイダルシリカ、土木、製紙、接着剤、鋳造などへの用途開発により画期的な発展を遂げてきました。
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- 土木
- 軟弱地盤改良、シールドトンネル工事などの原料
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- 建築
- コンクリート強化防水材、防火・耐火材、ジオポリマーなどの材料
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- 無水珪酸
- シリカゲル、ホワイトカーボン、コロイダルシリカなどの原料
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- 石鹸・合成洗剤
- ビルダー及び添加剤
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- 鋳物
- 鋳物砂の無機系硬化剤
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- 紙・パルプ
- 漂白剤の自己分解抑制剤、紙繊維の離解促進
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- 合成ゼオライト
- 吸着分離材、イオン交換材、触媒など各種ゼオライトの原料
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- 溶接棒
- 溶接用フラックスの結合材
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- 窯業
- 耐火物の結合材、粘土の分散剤、陶土の解こう剤
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- 接着剤
- 無機繊維・建材・鋳型の接着剤、コーティング剤・シーリング剤
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- 繊維
- 漂白剤の自己分解抑制剤。繊維の防炎加工
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- 水道
- 水中の微量不純物除去のための凝集剤助剤
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- その他
- 各種ケイ酸塩の原料、酸化チタンコーティング、メタ・オルソ珪酸ソーダ(脱脂洗浄剤)、粉末珪酸ソーダ(洗剤、窯業)
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当社製品規格例
品種 | 1号59 | 1号54 | 1号50 | 2号 | 3号 | 4号 | 5号 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
SiO2% | 35.0~38.0 | 31.6~34.9 | 28.8~33.4 | 27.5~29.5 | 28.0~30.0 | 24.0~26.0 | 25.0~27.0 |
Na2O% | 17.0~19.0 | 15.0~17.0 | 13.7~16.3 | 11.3~12.3 | 9.0~10.0 | 7.2~8.2 | 6.5~7.5 |
モル比 | 2.0~2.2 | 2.0~2.3 | 2.0~2.3 | 2.4~2.5 | 3.1~3.3 | 3.3~3.5 | 3.6~3.8 |
比重(20℃) | 1.67~1.71 | 1.59~1.62 | 1.53~1.58 | 1.435~1.465 | 1.39~1.42 | 1.31~1.34 | 1.31~1.33 |
粘度mPa・s | - | 1500~8000 | 260~2000 | 100~150 | 100~250 | 20~50 | 20~90 |
Fe% | 0.02以下 | 0.02以下 | 0.02以下 | 0.02以下 | 0.02以下 | 0.02以下 | 0.02以下 |
水不溶分% | 0.2以下 | 0.2以下 | 0.2以下 | 0.2以下 | 0.2以下 | 0.2以下 | 0.2以下 |
珪酸ソーダの物性はモル比と比重によって異なり、多くの場合は用途に応じて適切なモル比を選定いたします。
最も汎用的に使用されている3号品を基準として苛性ソーダを加えて1~2号品、シリカを加えて4~5号品を製造しています。
珪酸ソーダの製造法には乾式法と湿式法があり、当社では乾式法で製造しています。
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珪酸ソーダの種類
珪酸ソーダとはナトリウムの珪酸塩でありNa2O・nSiO2・mH2Oの組成式で示される物質の総称となります。主に水あめ状(粘稠状)の無色ないしわずかに着色した水溶液、または粉末の形態で市販されており、組成式中の係数nはSiO2とNa2Oの分子数の比でモル比と呼ばれています。SiO2とNa2Oの重量比とモル比の関係は次の式で示されます。
珪酸ソーダは、多くの場合、用途に応じて適切なモル比が選定されます。
珪酸ソーダの物性と用途はモル比によって異なり、現在モル比n=0.5~4.0位の範囲で生産されています。 nが1以下のものは結晶性珪酸ソーダと呼ばれ、nが1以上の物は非結晶性でモル比を連続的に変化させることが可能です。一般に水ガラスや珪酸ソーダと呼ばれているものは水溶液のものです。
Na2O-SiO2-H2O三成分系の領域図
(J.G. Vail, 1928, Soluble Silicates, New York, Pp.30 改変)
- オルソ珪酸ソーダを含む高アルカリ混合物
- メタ珪酸ソーダおよびその水和物のアルカリ結晶
- 部分的に結晶化した混合物
- 珪酸ソーダカレット等の工業用ガラス
- 水和ガラス
- 水和無定形粉末
- 半固形状物質
- 非常に粘調な液体
- 工業用珪酸ソーダ
- 希薄な液体
- 不安定な液体(ゾル)とゲルなど
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特性/基礎物性
粘度
珪酸ソーダ溶液の粘度はモル比、濃度、温度などによって著しく変化します。
濃度が同じ場合、より高モル比の方が粘度は高くなります。モル比と濃度と粘度の関係
pH
珪酸ソーダ溶液のpHは、モル比及び濃度によって変化します。
また、酸での電位差滴定によれば、珪酸ソーダは緩衝能が強く、ほとんど中和が完了されるまでpHが維持されることが分かり、この緩衝作用はモル比が高いほど大きくなります。モル比とpHの関係
凝固点
珪酸ソーダ溶液の凝固点は、3号珪酸ソーダでは約マイナス3℃ですが、1号珪酸ソーダではボーメ度が52(比重1.56)以上のものはマイナス50℃になっても粘度は高くなるものの凝固はしません。
モル比とボーメと凝固点の関係
融点
珪酸ソーダ液に急激に熱を加えると沸騰しながら水分が気化し発泡したガラス状となり、徐々に熱を加えた場合は、発泡が抑えられ、ガラス状となります。
その後はっきりとした融点は示しませんが、大体550~670℃の間で軟化し、730~780℃の間で流動を始めます。Na2O-SiO2系状態図
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化学的性質
酸との反応
珪酸ソーダ溶液に酸を添加すると、アルカリの中和につれpHが低下し、珪酸イオン又は、ポリ珪酸イオン同士の重合(シロキサン結合の生成)が進み、粘度が上昇します。さらに進むとゲル状に固化します。
粘度の上昇、ゲル化の速度は、酸の種類、量、濃度、温度によって異なりますが、約pH1.8で最も遅くなり、約pH7.5の時に最も速くなります。 また、 pH10.2以上では安定な溶液となります。
濃度とpHとゲルタイムの関係
多価金属イオンとの反応
有機化合物との反応
多価アルコールや酢酸エステルは、ともにアルカリ存在下で酸を生成し、中和反応により珪酸ソーダをゲル化させます。エチルアルコールなどの有機溶媒を加えてもゲル化しますが、これは単なる脱水によるもので、水を加えると再び溶解します。
無水粉末珪酸ソーダ
特徴
含有水分が殆ど無い完全無機質の粉末状の珪酸ソーダです。耐熱性、耐火性に優れています。
用途
耐火物など窯業関連、無機建材等への利用
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珪酸カリ
特徴
性質
珪酸カリの物理的・化学的性質は珪酸ソーダと類似していますが、結晶性や被覆性などの特性上の違いから特別な用途に用いられます。
当社規格例
種類
項目 | 1号珪酸カリ | 2号珪酸カリ |
---|---|---|
外観 | 水あめ状の無色ないしわずかに着色した液体 | |
比重(20℃) | 1.563~1.580 | 1.257~1.280 |
モル比 | 1.8~ 2.2 | 3.4~ 3.7 |
二酸化ケイ素(SiO2)% | 27.5~ 29 | 19.5~ 21.5 |
酸化カリウム(K2O)% | 21~ 23 | 8.5~ 9.5 |
鉄(Fe)% | 0.02以下 | 0.02以下 |
用途
- 溶接棒被覆材のバインダー
- 洗剤・石けんの原料
- 無機系塗料原料 等
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解説
珪酸ソーダの主成分はその名の示す通り、珪酸(SiO2)とナトリウム(Na)です。固形分は便宜上全て酸化物として表記し、これに水分を加えたNa2O・SiO2・H2Oの三成分系として図のように表すことができます。
性質が安定で工業的に有用とされる領域は実は限られており、当社主力製品の液体珪酸ソーダは図中9の領域でのみ製造されます。
8の領域との境界線は常温での実用的な粘性が基準とされ、10・11との境界線に近づくにつれてよりモル比(珪酸分の含有度)が大きくなり、珪酸分の濃度が増す一方でゾル(粒子)としての性質が強くなります。モル比が低い(ナトリウムの含有度が大きい)方が、珪酸分の溶解度は増すため、調整可能な固形分濃度は幅広く高粘性から低粘性まで物性の幅が豊富になります。
また、高粘性タイプの方が乾燥による水分の蒸発が相対的に遅く、長く流動性を保ちやすい性質があります。 このように目的の物性・生成物によってより適した珪酸ソーダを選ぶことで、より低コストで効率よく成果を得られやすくなります。